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「あ、弟くん帰ってたんだ?」
部屋の扉が開けられ、姉貴が様子を伺いながら入ってきた。
俺は反射的に半身を起こし、そのままの勢いでベッドから降りる。
「随分遅かったね。晩ご飯、できてるよ?」
ああ、そう言えばまだ晩飯食ってなかったな。
「ん、了解」
「その後、一緒にお風呂入ろ。昔みたいにさ」
出たよ。いつものお風呂入ろう攻撃。さすがにそれはやめてくれ。
「姉貴、それ小学生の時の話」
「いいじゃない。それに、その時に言った“ボク、お姉ちゃんと結婚するんだよ”て約束、まだ忘れてないからね」
「……姉貴、それ本気にしてるのか?」
「もちろん」
これも、何気ないいつものやりとり。
姉貴も姉貴で、ずっと転校続きだったから未だ弟離れできないっていうか。何て言うか。もう高校三年生だろ。
「いい加減姉貴も彼氏ぐらい作れよな。俺だって今日……」
「今日、どうしたの?」
やば、つい口が滑ってしまった。
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