狂気の宴

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 まだ町が寝静まっている夜中の三時。  何か嫌な胸騒ぎと共に俺は目を覚ましてしまった。 「……っ」  再び眠りに着こうと思うには、もう頭が起きてしまっていた。とりあえず、水でも飲んで落ち着こう。  隣は姉貴の部屋だ。できるだけ音を立てないように扉を開け、台所へ。  冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターのペットボトルを一つ取り出す。  それにしても、あの時の姉貴は恐ろしかった。一瞬にして、まるで別人のように変わっていた。  半分ほど飲んだところで、ふと玄関の鍵が開く音がした。  それは泥棒か。俺はとっさに身を屈め、何か武器になるものが無いか探す。万が一に備えて包丁を――あれ、一本足りない?  扉が開かれると同時に外から入り込んだのは異常なまでの鉄のにおいだった。  足音はゆっくりと玄関を抜け、リビングへと入っていった。 「誰だ!」  俺は勢いよく飛び出し、すぐに照明を付ける。  そして、俺は驚愕した。
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