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「あ、弟くん」
「姉貴!」
包丁を片手に、服を真っ赤に染め上げて、姉貴がそこにいた。
待てよ。ちょっと待てよ!
「姉貴、何やってんだよ!」
俺は握っていた包丁を投げ捨て姉貴に駆け寄る。血のにおいが鼻をつくが、今はそんな事を言っている場合じゃない。
「何って、お掃除してきたんだよ。ゴミ掃除」
「掃除って……」
と、そこで姉貴が包丁以外に何かを握っていることに気づいた。
「姉貴、それ何だよ」
「ああ、これ?」
差し出されたそれはズタズタに引き裂かれ、血に濡れた生徒手帳だった。それが三つ。
それって……そういう事かよ!
「冗談もほどほどにしないと怒るぞ……!」
中を確認するまでもない。手帳の表紙には、あいつらの字であいつらの名前が書かれていたんだから。
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