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「冗談じゃないよ。これも弟くんのため。だって、弟くんはお姉ちゃんと結婚するって約束したもん。他の女の子を好きになって、約束を守れない子にはしたくないもん」
「あんなのガキの頃の話だ。冗談だってわかってるはずだろ」
「お姉ちゃんは本気だったよ」
姉貴の目はうつろだった。少なくとも、冗談を言えるような状態じゃないのはわかる。
「そっか、あの女の子達に惑わされたんだね。もう大丈夫だよ、お姉ちゃんが掃除しておいてあげたから」
冷たい手で、俺の頬に触れる。
俺は、その手を払っていた。
「あっ……」
「ふざけるのもいい加減にしろよ姉貴! こんな事していいわけないだろ!」
「……違う」
「何が!」
流石に限界だった。いくら姉貴でも、こんな事をするとは到底思っていなかった。
「弟くんはそんな事言わない! ずっとお姉ちゃんの味方だった!」
いきなり姉貴は俺の首をつかんで壁へと叩き付けた。もの凄い勢いで、俺の抵抗を全く許さずに。
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