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「違う。違う違う違う違う違う違うこんなの弟くんじゃない私の弟くんじゃない……!!」
俺の眼前に包丁の切っ先が突きつけられる。
姉貴の表情は、もう壊れていた。狂気に犯されていた。
「これもあの子達のせい私も弟くんも何も悪くないでもまた弟くんを惑わす女の子が現れるだから弟くんを守るんだ何も見えないようにして何も聞こえないようにして何も感じないようにすれば弟くんは私以外の女の子を知ることはできないよ!」
視界が二こ。
視界が四こ。
視界が六こ。
視界が零こ。
そんな俺の中に、何かが入り込んでくる。
「まさかキスとかしてないよねだって弟くんのファーストキスはお姉ちゃんのモノって決まってるんだもん!」
唇を塞がれた。悲鳴を上げる事すらも許されない。
いや、もとより悲鳴を上げる力すら残ってはいない。
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