◆遭遇

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   部屋を出た後、僕は警戒しながら一本の廊下を歩いていた。  廊下にしてはやたらと距離が長い。目算で三十メートル以上あるだろう。  一体何のためにこんな長い廊下を作ったのだろうか。あまり意味が感じられないような気がしてならない。  今は殺し合いが始まっている状況なのだ。僕の精神は結構いい所まで追い詰められている。そのため、こんな長い廊下だと嫌に不気味に思えて仕方がなかった。  僕の手足はガクガクに震えていた。こんな状態で人と遭遇して、その人が他のチームだったら最悪だ。それに僕には未だ人を撃つ決心がつけずにいる。  ……希望的観測かもしれないが、それはこのゲームとやらに巻き込まれている他の人も同じ心境だと思っている。言葉一つで他人を殺そうとする程、人間はそこまで堕ちてはいないはずだ。  少なくとも、僕はそう信じていたい。  長い廊下を抜けて、その先の扉を開けようとドアノブに手をかけてみる。ドアノブを回して扉を軽く押してみると、扉は簡単に開いた。  ……どうやら、鍵がかかっていたのは最初に閉じ込められていた部屋だけなのかもしれない。それはそうだ。 「誰かはわからないけど、目的は僕達に殺し合いをさせたいからな……」  小言のようにボソッと呟く。ただ、善きにしろ、悪しきにしろ、あの孤独な部屋から出られた事だけは現状僕は助かってはいた。    あのまま、一人孤独であの部屋に居続けていたら本当に気が狂って、手持ちの銃で自殺していたかもしれない。……こうして外に出られたのだ。  少なくとも、まだ何か希望はあるはずだ。  
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