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……気づけば、そこは見知らぬ天井だった。
僕、相羽透はまだ重たい瞼を開かせて、起きた。のそのそと立ち上がり、そして考える。
――ここは……どこなのだろう、と。
錆びついた鉄のタイルがいくつも横に並んだ壁と床の空間。部屋の真ん中にはテレビが、壁の隅っこ上には四角の長方形型の空孔があった。見た感じでは映画等でよく見る刑務所、いや牢獄に近い。床と天井の距離が浅くて、少し息苦しく感じられる。
確か、僕は妹から買い物を頼まれていたはずだ。それで買出しを終えて、帰り道を歩いていた。
だが帰る途中で少し目眩がして、それで……何故か気を失ってしまった。
……いや、まて。どうして僕は気を失ってしまったんだ?
もっと深く思い出してみろ。
僕はあの時、目眩がしただけで“気を失う程ではなかった”はずだ。けど、どうしても思い出すことができない。
「くそ……」
何故こんな場所にいるのか思い出せない事に苛立ちながら、ふと首元にある違和感に気づいた。手で触ってみると、そこの箇所だけ何かが付けられている。
僕は携帯電話を取り出して、自分に向けて写真を撮った。そして、その撮れた画像を見てみる。
……首輪だ。僕の首元には機械で出来た首輪が付けられている。気味が悪くなり外そうとしてみるが、外れない。首輪を強く引っ張って外そうとすると「ピ、ピ、ピ」と電子音が鳴り、怪しげな雰囲気を感じて僕はすぐに無理に外すのをやめた。やめた途端に首輪の電子音が止む。
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