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流れてくる映像には一人の男が赤い椅子に座って構えていた。
背景が暗いせいか、男の存在感が目立って見える。何故か、男の目元には仮面が付けられている。白い仮面だ。『オペラ座の怪人』に出てくるファントムが付けていた仮面に似ていると言ってもいい。
男の顔ははっきり隠されている。仮面の男が口を開く。
『諸君、目が覚めたかな? 起きてそうそうには悪いのだが……諸君らの身は預からせてもらった』
仮面の男は軍人の偉い人のような話し方で電子で作られた声帯だった。
僕は男の言葉を聞いて、絶句する。
この男は何を言っているんだ……?
『まぁ不安がっている者も大勢いるとは思うがまずは安心してくれ。諸君らは必ずお家へ帰すと約束しよう。ただしこちらの条件を呑んでくればの話だがね』
「……条……件……?」
『なぁに、条件とは簡単だ。……まず諸君らに手元には何らかの武器となるものがあるだろう。まだ見つけていない者は念入りに探してみてくれ』
僕は男の言葉通りに部屋の辺りを見回した。
部屋の周りには特に何もない。だとすれば、何かあるならこのテレビのどこかに隠されているという事になる。
僕は男の放送を聞きながらもテレビをくまなく調べてみた。
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