プロローグ

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  「……殺し合い、だって?」    夢でも、殺し合いなんて悪夢は未だ見た事がない。  僕には衝撃的すぎた言葉だった。  殺し合い、殺し合い……。意味が、いまいちわからない。もちろん、言葉の意味はわかっている。    けど、どうしていきなりこんな事になってしまったんだ……?     そう誰かに無性に聞きたかった。だが、今は僕一人だけなのだ、この部屋には。  頼れる家族や友達もいない。今、僕が頼っていいのはこの銃とテレビの男の“帰れる”という言葉の鵜呑みだけ。  でも、帰るためには、どうしても“殺し合い”をしなければならない。僕は手に掴んだ拳銃を見つめた。この銃を見つけるよりも、さきほどの男の言葉を聞く方が早かったのなら、“殺し合い”という言葉は冗談半分にしか聞こえなかっただろう。  だが、僕は先に見つけてしまった。これを、この今手にした銃を。    だから、男の言葉は信じたくないが、信じるしか選択肢がなかった。じゃなければ、この銃の説明がつかなくなる。  
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