運命を呪うのではない、己を恨め

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身を乗り出して伸ばした手は画面に当たって弾かれた 空を切って進んでいたはずだった愛機の自慢のスピードが酷く遅かった ならば自分の身でと、外に出ようと思ったのにその扉は重すぎて開かなかった そして光が溢れ出して視界を遮り、彼を見ることすら出来なかった 彼の元へたどり着くための時間が足りなかった 彼を連れ去っていった運命が憎かった そしてその積み重なる偶然の不幸が己の運だった すべてが邪魔をする 存在するものを守ろうとする行為を全て、画面が性能が力が光が運命が己の不運が邪魔をする。 ただ存在すれば良いと思うだけなのだ 自分に関わらなくても良かった 自分が居なくなっても良かった 彼だけは生きて欲しかった 居ないはずの神を恨めしく思うのは、ああ己の我が儘なのだ
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