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鬼女房の言うことは守らねばならぬ。トーイは内心で毒づき、食事用のテーブルに無造作に置いてある新聞に手を伸ばした。
「ぬんぬ、ぬ~ん」
訳の分からぬ鼻歌まじりに、頭をタオルで拭きながらカルトルはリビングに姿を現した。
几帳面な性格のミールが綺麗に整えているため、リビングは収納ボックスは何が入れられているのか分かる様、入れられている物が書かれた紙が貼ってある。
他にも、カーテンレールには汚れ一つ無く、窓の縁にも埃など無い。科学の賜であるテレビも部屋の隅に置かれているが、裏側に溜まる埃もきっちり掃除されている。
他国と交わりが浅いカンタリース大陸内において、科学の発達が最も進んでいてると国民の誰もが思っている。が、実際のところは……。
食器に盛られた朝食を器用に三人分運ぶミール。
「カルトル、あんた新聞はきちんと置きなさい。お父さんの席にね」
「ごめん、汗だらだらだったから急いでて……」
カルトルが無造作に新聞に置いていたことを注意しながら、テーブルの上に色とりどりの料理が盛られた食器を並べる。
カルトルはその様子から、自身がいつも座っている席に着く。
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