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確認を終えたカルトルの耳に届いたミールの声。どうやら下の階から呼んでいる様で、学園の迎えが来たとか。
狙って来たかとさえ思ってしまうほどのタイミングに、カルトルは思わず苦笑いを浮かべ、両手が塞がるほどの荷物を圧縮させ制服ポケットへ納める。紺色を基調とした制服は左胸にはシンボルマークが刺繍され、シンプルな作りになっている。
段数の少なく幅の狭い階段を慎重に降りると、並んで待っていたトーイとミールを真剣な表情で見る。
「俺さ……俺…………絶対に頑張ることを止めないよ。『努力に努力を重ね、その上に努力』っていう父さんの言葉を忘れないよ。だから、だから待ってて欲しいんだ、立派な魔法使いになって帰って来るその日まで!」
カルトルの言葉に二人はゆっくりと頷く。
「暴れてこい! 嵐を巻き起こしてこい! そして強くなれ、多くを学んでな」
「あたしからも一つだけ。努力を忘れないことも大切だけどね、無茶はしないこと。それだけね」
カルトルは二人の最期の言葉を記憶した。強く心に刻んだのだ。太く頑丈な支えとするために。
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