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「それじゃ、行ってきます」
カルトルはそう言うと、ドアをゆっくりと開け、手を振る二人を背に、新たな知識を求め足を進めた。
「行ってらっしゃい……」
遠く離れた地に行く我が子の背に、二人は顔を覗かせる涙を堪え、最後まで笑顔を崩すことなく見送った。
外に出たカルトルが始めに目にしたもの、それは一人の男の姿。
背広姿のその男は無言で手を伸ばし、一枚の紙をカルトルに渡す。
白い名刺サイズの小さなその紙は、縁に金色のラインが輝いており中央にはカルトルの名前が横書きに記されている。
「あの……これは?」
カルトルは紙をまじまじと見るが何なのか全く理解出来ず、申し訳なさそうに小声で尋ねる。
「それ、学生証。学園、繋がる。転移カード、そうも、言う。使い方、簡単。魔力、込める、それだけ。行き先、勿論、学園。分かる?」
男の喋り方に少々驚いたものの、カルトルは頷き、理解したと伝える。
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