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それはほんの一瞬。瞬きをしただけで視界が変わるという不思議な感覚に、カルトルは思わず感激した。
広がる景色の大半を占めるのが芝生で、高く聳える校舎の外壁。赤レンガを何段にも積まれたソレは、何百年の年月を経て所々傷んで見える。
新入生であろう生徒は思い思いに話ながら、群れをなしながらある場所へと向かって歩いてる。当然行くさきは入学式の会場である、屋内修練場。
誰かが先導をきったのだろう、他の生徒たちはぞろぞろと着いて行きだしたのが伺える。
「これが、学校……」
そんな生徒たちを含め、目の前の光景にカルトルは小さく呟いた。田舎育ちの彼は学校というものは、父であるトーイの話と書物の中だけの存在だった。
だが今からはその「学校」に「学生」として通うのだ、興奮を抑えきれず走り出す。
とりあえずは生徒の群れの先頭を目指す。そこに行けばいいんだと直感したからだ。
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