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「特待生」。
漢字にすれば三文字。仮名で六文字。たかだか、その程度の文字数でも学校内で持つ言葉の重みは計り知れない。
一般入学、推薦入学、特待推薦入学、そして裏口入学と四種の入学方がある。
しかし特待推薦枠を勝ち取ろうとなれば、それはそれは難儀である。
たまたま寄った田舎町で見かけた少年の剣技が、昔の教え子が得意なモノで、その息子だった。そしてその教え子が特待生だったこと。
そんな背景を持つ特待生など極々僅か。何故なら、一般的な特待推薦枠は、推薦枠の中で教員達の審査により決まり、入学予定のない者が選ばれるのは十数年に一度程度。当然、本人の同意が得られた瞬間に入学が内定とされる。
そしてカルトルはそんな稀なタイプの特待生となる。
「君は確か……、推薦入学試験にいなかったよね?」
だからこそ、噂の一つや二つがあったり、有名であったりするのは当たり前であるのかも知れない。
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