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部屋に足を踏み入れたその瞬間、クラウスは体の中を何かが巡った様な感覚に襲われる。
クラウスは思わず足を止め、体に異常がないか簡単に調べる。結果、何も異常はなく、緊張のせいだろと一人納得をする。
再び足を動かそうとしたその瞬間、産声が部屋中に響き渡った。
妻、カトリーヌの安堵の表情を捉えたクラウスの瞳は潤んでおり、直ぐに駆け寄った。
「カトリーヌ、よく頑張った」
「あなた、男の子よ。元気な男の子よ。私達の子なのよ」
クラウスはカトリーヌの右手を両手で包み、涙を流しながら、何度も「ありがとう」と繰り返す。
「旦那様、奥様」
子を大事そうに抱えた使用人は、クラウスにゆっくりと慎重に手渡す。
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