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「感じる。感じるぞ、我が子の温もりを。愛してるぞ、クラルト」
ここに国中に名を轟かせている貴族、「ガーベラントス家」の、第十二代目となるクラウスの第一子クラルトが生誕した。
「クラルト……。クラルト、いい名ね、本当に……」
カトリーヌは噛み締める様に何度もクラルトと繰り返す。
カンタリース大陸の南東に位置する五大国の一つ、アルタールは王国である。そのため、王の言葉は絶対。
しかし、そんな王を影で牛耳る者達がいる。それがガーベラントス家を含む七つの貴族の長達。
国の行政を保つため、心を鬼にすることもある。その度にクラウスは心を痛めてきた。
クラウスは弱肉強食という言葉が嫌いだった。力無き民から税金を巻き上げる。そんなことが許されるのか、若き頃はそう思っていたのだ。
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