0.プロローグ

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「時間(とき)は人を変える」とはよく言ったものだ。クラウスもまた、周りの環境、そして時間により彼は変わった。 生きるため。 他の貴族達もしている。 そんな考えのもと、己の行為を正当化させたのだ。 年を取り、彼の思考は益々過激化するのであった。 懐を肥やすために巻き上げる様に金を搾り取る。 盗賊達と何ら変わらぬ悪行に人々は怒りを募らすが、貴族達の力の前に成す術なく従う。 それでも、ガーベラントス家が治めるアーダント地方は優しいものである。 アーダント地方は鉱石が多く採れるため、幸いにも収入は多く、人口も国内でも三番目と恵まれている。 そして、クラウス自身にもまだ良心が残っているのか、完全に徹しきれていない。 それが唯一の救いとなってか、ガーベラントス家の領内は国内で最も住みやすいと噂されていることも事実である。 そんなアルタール王国を舞台に悲劇の幕開けとなる。 ――憎しみと怒りの連鎖の悲劇が。
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