1.始まりと出会い

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「うっす。ありがとうございました!」 深々と頭を下げ、爽やかな笑みを浮かべながら、トーイと同じ様に汗を拭う。 親子共々、色鮮やかな金髪。父、トーイは短髪、子のカルトルは眉毛の辺りまで伸びたセミロングのくせ毛。深海を思わせる透き通る様な碧色の双眸。 「今日からお前も魔法学校に通うのか……」 そう言い、瞳を閉じたトーイは学生時代の話しを始める。 「俺はな、特待生で常にトップだったんだぞ。 まぁ、それもいい師匠がいたおかげだが……」 カルトルは目を輝かせながらトーイの話しに耳を傾ける。 今日は王都魔法学校の入学式。全生徒数は千を越え、四年制である。特待生のみスカウト制で、一年に三人だけ。他は厳しい試験をクリアしなければならない。 アルタール王国で最も難しい魔法学校であり、謂わば、魔法使い達の登竜門、誰もが憧れる聖地である。 そんな王都魔法学校の特待生の一人がカルトルなのだ。なんでも偶然通りかかった校長がカルトルの剣筋に何かを感じたとか、感じなかったとかで……。
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