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______ 闇夜の中、分厚いドアを必死に叩く音が聞こえた 「――人間が何の用だ?」 訪問者の一切無い私の城へと人間が迷い込んできたようだ 立っているのは、宵闇に紛れてしまいそうな双黒を身にやどした少年 「月は出てないし、森の中で道に迷っちゃって…」 質素で農村の民とでもいったところだろう 「お願いなんだけど、今夜はここに泊めてくれっ!」 「―――帰れ」 「村までは距離がある。夜盗に襲われるかもしれないし……頼むよ、この通り!」 しきりに頭を下げ続けている 人間は人に頼る事しか術を知らないのだな…… 呆れた 「勝手にしろ、ただし私には近寄るな」 .
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