167人が本棚に入れています
本棚に追加
______
闇夜の中、分厚いドアを必死に叩く音が聞こえた
「――人間が何の用だ?」
訪問者の一切無い私の城へと人間が迷い込んできたようだ
立っているのは、宵闇に紛れてしまいそうな双黒を身にやどした少年
「月は出てないし、森の中で道に迷っちゃって…」
質素で農村の民とでもいったところだろう
「お願いなんだけど、今夜はここに泊めてくれっ!」
「―――帰れ」
「村までは距離がある。夜盗に襲われるかもしれないし……頼むよ、この通り!」
しきりに頭を下げ続けている
人間は人に頼る事しか術を知らないのだな……
呆れた
「勝手にしろ、ただし私には近寄るな」
.
最初のコメントを投稿しよう!