京都

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そんな静寂を破るように部屋のドアが開き、押し出された人でロビーはざわつき始めた。 教授に挨拶をしに行く者や、次の演題の座長が打ち合わせをしている姿が目に留まる。 学会はいつもこうだ。活気と人の波。 人込みが苦手な篠崎は、数えるほどしかこんな場には出て行かない。 「篠崎?おい、篠崎か?」 自分の名前を呼ばれて振り向くと、屈託のない笑顔で、クマのぬいぐるみのような男が立っていた。 破願した顔はひとの良さを滲ませている。
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