京都

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「前に会うたときは確かお前の結婚式やったな。茜さんは元気か?」 思いがけない名前を聞いて篠崎から苦笑が漏れる。 邪気のない狩野の笑顔は、噂すらも耳に入って来てなさそうだ。 「―― 別れたんだ。1年保たなかったよ」 篠崎は静かに笑うと窓の外に視線を移した。 後悔は、ない。家庭を無くした代わりに今自分の隣には真壁がいる。 そんな篠崎を見ていた狩野は、それ以上を尋ねなかった。
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