238人が本棚に入れています
本棚に追加
やがてガジェットが無視できない巨大な集団の代表として国政への発言力を持つようになると、理法使いに組しなかった貴族や宗派を超え団結した教会権力と衝突が起き、あちこちで小競り合いが目立つようになった。その争いはフランス国内だけでは留まらず大ブリテン島とイタリア半島にまで燃え広がる。
それをきっかけにフランス政府はガジェットを公式に擁立し、理法使いを主戦力とした部隊を編成して反対派を鎮圧すると国外進攻へ打って出た。街角の見世物がとうとう国家間の戦争を引き起こすまでになった。
隼よりも速く空を飛び一瞬で砦一つを焼き落とすこともできる理法使いに常識的な兵力では太刀打ちできず戦線は外へ外へと広がっていった。
戦場の空を自在に飛び回る様を見てのちに“魔女戦争”と呼ばれるこの戦いは、イタリアと共に降伏したイギリス連合王国から分離し最後まで抵抗を続けたイングランドを解体するまでに及び、結果的に理法使いが持つ戦力としての有用性を広く知らしめる結果となった。
戦争終結時にはガジェットがバチカンにて洗礼を受けるなど教会への恭順を示したが、教皇より枢機卿の地位を与えられたことで明確な勝者となった。宗教革命から啓蒙主義の台頭より続く痛手を被った教会は、その後工業の機械化によって資本主義が幅を利かせるようになり、いよいよ権威を地に落とすことになる。
最初のコメントを投稿しよう!