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暗い。
私が目を覚ましたら、既に外は暗闇に包まれていた。
そっと近くの窓を開ける。すると、テムズ川の流れる音が聞こえてきた。
夏になればついでとでも言うように悪臭が漂ってくるのだが、それは今のところはない。
私はしばらく夜のロンドンを窓から眺めていたが、これからすべきことを思い起こして顔をしかめた。
「How many people do I kill today・・・・?<今日は、何人殺すのかな……?>」
唇から声が漏れていたのに気がついたのは、呟いた後だった。
私は枕許に目線を動かした。そこにあるのは、一挺の拳銃――M92F。
血で濡れ切った手を持つ私の、唯一の親友と言えるのはこの黒い鉄の塊だけだった。
洗面所で顔を洗った。鏡を覗き込むと、スカイブルーの瞳が私を見ていた。
肩に付くぐらいの赤い髪は、ざんばらで整っているとは言い難い。鼻は問題無く付いているが、片方の耳が一部欠けている。
だいぶ見えなくなっているが、頬や額に傷痕がいくつか薄く見える。
この傷はあの時の、あっちはこの間の――などと思いに耽っていたら、突如現実に引き戻された。
「いってええぇ!!」
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