ミッションナンバー00 「接触」

5/6
前へ
/9ページ
次へ
「――なんだ、遅い弾幕だな」  その声は、耳元から聞こえた。 「――!」 ――ドスッ。  腕が思い切り叩かれた。銃が手を離れて地面に落ちる。 「……Why?なぜ…」  外したわけでは無い。狙いは正確だった。  つまり――。 「避けたに決まってるだろ」 「あの距離で……!?」  僅か数メートル。外すことなど有り得ない距離だった。 「あれくらい避けれないとあいつらに勝てないんでな。で、どうする?」  面白がっているような声。悔しいが、今の私には何も出来ない。 「……わかったわ。もう何もしない」  少し痺れた両腕を降参の形に上げる。 「よし。じゃあ、質問に答えてくれ。ここはどこだ?」  少女と私は向き合う形で言葉を交わす。 「ここは英国のロンドン。貧民街<スラム>の一角よ」 「悪いが知らないな……ん、ろんど……もしかして倫敦人形のロンドンか?」 「え?それは、知らないけど……」 「そうか?ままいいや。ところで、お前の名前なんて言うんだ?ケチらずに教えてくれよ」  私は一瞬躊躇した。そこで、ある言葉で切り返す。 「女の子に名前を聞くときは自分から名乗るものじゃなかったの?」 「おっと、忘れてたぜ。私は霧雨魔理沙だ。よろしくな」  とてもよろしくしたくはないが。 「……セマリス。セマリス・蒼晶。それが、私の名前」 「みょうちくりんな名前だな?」 「あなたには言われたくないわね」 「ははっ。もっともだ。んじゃあ、セムって呼ばせてもらうぜ」 「……好きに呼びなさい」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加