2人が本棚に入れています
本棚に追加
「――なんだ、遅い弾幕だな」
その声は、耳元から聞こえた。
「――!」
――ドスッ。
腕が思い切り叩かれた。銃が手を離れて地面に落ちる。
「……Why?なぜ…」
外したわけでは無い。狙いは正確だった。
つまり――。
「避けたに決まってるだろ」
「あの距離で……!?」
僅か数メートル。外すことなど有り得ない距離だった。
「あれくらい避けれないとあいつらに勝てないんでな。で、どうする?」
面白がっているような声。悔しいが、今の私には何も出来ない。
「……わかったわ。もう何もしない」
少し痺れた両腕を降参の形に上げる。
「よし。じゃあ、質問に答えてくれ。ここはどこだ?」
少女と私は向き合う形で言葉を交わす。
「ここは英国のロンドン。貧民街<スラム>の一角よ」
「悪いが知らないな……ん、ろんど……もしかして倫敦人形のロンドンか?」
「え?それは、知らないけど……」
「そうか?ままいいや。ところで、お前の名前なんて言うんだ?ケチらずに教えてくれよ」
私は一瞬躊躇した。そこで、ある言葉で切り返す。
「女の子に名前を聞くときは自分から名乗るものじゃなかったの?」
「おっと、忘れてたぜ。私は霧雨魔理沙だ。よろしくな」
とてもよろしくしたくはないが。
「……セマリス。セマリス・蒼晶。それが、私の名前」
「みょうちくりんな名前だな?」
「あなたには言われたくないわね」
「ははっ。もっともだ。んじゃあ、セムって呼ばせてもらうぜ」
「……好きに呼びなさい」
最初のコメントを投稿しよう!