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しかし、放たれた複数の銃弾は邪魔をした男には当たらなかった。
「ハッ、効かねえよ」
黒髪のツンツン頭の男はあまりの恐怖に気絶していた社長を担ぎ、ビルの窓に向かう。
「逃がすか!」
逃がさんとばかりに蛇の集団が男と社長に襲いかかる。
「ちっ、うぜえ……」
呟くと片手で社長を担ぎながら、男は空いているもう一方の手を蛇の集団に向けた。
――その瞬間、蛇の集団の動きが止まった。
「……な、何だ!? か、体が動かん!」
蛇の集団のリーダー格が焦りを表情に出す。それにあわせ、他の仲間達も次々と慌てたように声をあげる。
「しばらくそこにいな」
余裕の笑みを浮かべながらそう言った男は社長室の窓ガラスを割ると社長を担ぎ、割れた窓から下に飛び降りた。
「和斗(かずと)! 頼むぜ!」
どんどん下に向かって落ちる中、男は社長を担ぎながら耳元の無線にそう告げた。
「りょーかい! 瞬兄(しゅんにい)!」
無線から聞こえた男の言葉に和斗と呼ばれた銀髪で背の低い少年は遠くのビルから落ちる瞬に向けて、手を向けて呟く。
「空間固定」
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