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「ふわぁーあ」
あくびをしながら、どこかから歩いてきた和斗は店のカウンターのイスに座った。
ここはLUCKY=JOKERという名の東京の新宿にある小さなカフェ。ここに瞬と和斗は寝泊まりしている。
「今日は仕事もねえのに早いな、和斗」
店のカウンターの奥にいた赤い髪の少し年をとった男がコーヒーを作りながら、話しかける。
「当たり前じゃん! 早起きは三文の得って言うでしょ、トールさん」
和斗が笑いながら言うとトールと呼ばれた男は微笑みながら、あたたかいココアをカウンターに置いた。
「ほら、和斗の好きなココアだ」
そんなやり取りの後、しばらくの間、和斗がカウンターのイスに座って、ココアを飲んでいると店の扉が開いた。
「いらっしゃいませー!」
和斗が扉の方を向き、明るく言う。すると、入ってきた黒い髪を長く伸ばした女の人もあいさつをしつつ、こう返した。
「こんにちは! ここがLUCKY=JOKERですか?」
「うん! そうだよ!」
「えっと、これを」
女の人はポケットから紙を取り出し、和斗に渡す。
「それは? …………瞬兄! 仕事だよ!」
渡された紙を受け取り、紙を見て、和斗は近くのテーブルで寝ている瞬を起こしに向かった。
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