第二章

3/16
前へ
/37ページ
次へ
 もちろん俺達もギルドに所属していて、ギルドからの依頼を受けて魔族を狩る代わりに、組織の保護を受けている。ギルドの証明書を提示すれば、街では様々な特典が受けられて何かとお得だ。  ……まあ、今回のようなケースは仕方ないが。  俺達は三日前にギルドから出頭を命じられ、支部のある街へ向かう途中で度重なる魔族の襲撃受けてしまい、町を追い出されて野宿する羽目になったのだ。  それも二日続けて。  そりゃレイの機嫌も悪くなるだろう。  ついでに俺の機嫌だって良くはない。  期待したふかふかのベッドはおあずけだし、温かい食事は不味い携帯食料に化けた。機嫌が悪くなって当然だ。  しかし、その原因が俺自身にある事は疑う余地もないワケで。  たとえ切欠を作ったのが悪意に満ちた魔族の仕業だったとしても。  町の連中にしてみれば、町中で大暴れして家を壊したのは俺――と魔族で。  魔族がいなくなってしまえば、怒りの矛先が向けられる相手は俺しかいなかった。  思わず溜め息が洩れる。  こんな目に遭うのは実際いつもの事で、はっきり言ってしまえば慣れている。  町を追い出されるのも、悪意を向けられるのも。  だが、慣れていても正直へこむ。  俺は我が身を削りつつ危険な目に遭いながらも魔族を狩り、僅かながらも世の中の役に立っている――ハズだ。  なのに、魔族のとばっちりを受けて仲間である筈の人間達に迫害される。  まあ、今に始まった事じゃないけどな。我ながら、よく今までグレずに来たもんだと感心するよ。  ま、俺のあんな姿を見りゃ、誰だって逃げるよな。  逃げなかったのは、昔から魔族と交流があり、混血にも慣れている俺の生まれ故郷の村の連中くらいのもんだ。  そう、俺は所謂人間と魔族の混血(ハーフ)だった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加