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「ジェス、また?」
その瞬間、あどけない瞳が鋭く細められる。
おい、何でそんな責めるような目で俺を見んだよ。これは俺の所為じゃないだろ? 向こうが勝手に寄って来んだよ。俺が悪いんじゃねえよ、俺だって嫌だよ、被害者だ、どうにかできるもんならどうにかしてぇよ。
「すぐ?」
「いや……もうちょっと先だ。町外れあたりで待ち伏せてるな。このまま行くぞ」
俺の勘が、もう少し先だと告げる。
敵は――おそらく一匹。町外れに近い辺りで気配を感じる。
「わかった。くれぐれも、僕から離れないでよね、ジェス」
「……努力はする」
「努力じゃダメなんだってば。それじゃ僕がいる意味がないでしょ? こないだだって家三軒も破壊しちゃって、向こうの町じゃ買い物もできないから、わざわざこっちまで出向いたってのに」
じとりと上目遣いに非難の眼差しを向けられた。
だからそれは俺の所為じゃないっつの。所構わず仕掛けて来た奴らが悪い!
それで町の連中には白い目で見られるわ、買い物もできなくなるわ、宿は追い出されるわで、散々な目にあってんのは俺だろ!?
と言い返そうとしたら、いつもよりちょっと潤んだ大きなはしばみ色の瞳に睨み付けられた。
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