姫君への憂鬱

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 程なく、魔王は駆け付けた衛兵に手枷を嵌められた。 「やめて! そのお方私と契りを交わしました、もう夫も同じ、その様な扱いは許しません!」  姫はうさぎの頭部をかなぐり捨て、衛兵に掴みかかった。  姫の前後ろに着ていたドレスは腰まで下がっており、淡い膨らみは露になりプディングのように揺れている。  魔王は悦に入った笑顔で姫の其れを眺めていた。  その目には色眼鏡で見るそれではなく、プディングに見えているに相違無い。  高い塔の小さな部屋は色々な人々で犇めきあい、壮絶な争いとなっていた。 「ひきたてんこー……間違えた……引っ立てよ……」  意識朦朧としている王の声など、誰の耳にも届いてはいなかった。 「ぼくMじゃないです!」  魔王は手枷を外せと暴れ、姫は衛兵の股間をヒールで蹴飛ばし、鍵を奪い取った。 「うげらぼぁ、……こんなだから35回も縁談が破談になるんだ!」  衛兵の一言に、皆が静まりかえった。
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