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熱風が吹き荒れるマンションに向かい疾走する。
マンション内に入る気のない消防士の制止を無視し、水筒の水を頭から被った。
うん、スポーツドリンクの匂いがするよ。
やべ、左ポケットにケータイ入れたままだった。壊れたかな……?
「4階ってどこだ?!」
侵入早々叫ぶ瑠輝。俺は上を指差した。
ほぼ同時、嫌な音と共に入り口が塞がった。
俺達は非常階段を使い、4階へと昇る。
「何号室って言ってた?!」
「忘れた!!」
俺は親指を立てて答えた。
「片っ端から開けるしか……のわぁ!!」
……非常階段が崩れ、退路が無くなる。
「ドアを叩く音がする!こっちだ!」
瑠輝が叫んだ。俺は走り寄る。
「蹴るぞ……せーのっ……!」
ドアの先……炎に包まれ、赤と黄色が暴れ狂う世界。
の筈なのだが、火の気が全くと言っていい程無い。
ここだけ世界から切り離された……そんな、異様な空間。
「おかしいな……ノックの主が見当たらない」
瑠輝が手を口に当てて呟く。
うん、シリアスだな。
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