甘い誘い

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肌を汚す。 つまりそれは、男女の交わりであり、幾ら疎い私でもそれくらいのことは理解できた。 悪魔との交わりがどんな意味を持つのかも知っている。 例え、命を奪われようともそれだけは受け入れる訳にはいかなかった。 「それは嫌、私は確かに貴方と契約しましたが身体は嫌です」 私は、はっきりとした口調で、しっかりとヒルクの瞳を見据えながら、拒絶の意思を示すように、ヒルクの身体を両手で押し、自分との間に距離を取る。 『そういうと思った。 無理矢理つうのもゾクゾクするぐらい好きなんだけどねぇ。 自分を拒絶する人間を虜にして自分から縋るようにするのがもっと好き』 まるでそれは、私が虜になる。 とでも言いたいのかと思う言葉で、私はヒルクの絶対的自信に呆れながらも感謝し、私はあえてヒルクの言葉には反応を示さなかった。 ならばと更にヒルクの身体を強く押しその腕の中から逃れようと試みる。 『おっと、だからって代価をもらわねぇ訳にはいかねえなぁ』 ヒルクは、必死に腕を伸ばし、離れようとする私の力を易々とねじ伏せる。 私の身体を拘束するかのように背に回した、腕に力をいれるとジッと私を見つめ何かを思いついたようにる手とは、反対の手を私の頬へと伸ばし、すっと撫でるように滑らせた。 私は、その手から逃げるように顔を逸らすも、ヒルクの撫でる手は、顎下へと移動し力ずくでヒルクと向き合わさせらる。 近づく顔に、私は、意図を察し嫌だとヒルクの力に対抗して見せたがそれは何の意味ももたず、あっという間に縮められた距離からヒルクの唇は私の唇を捕まえた。
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