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私は、自分めがけて降り注ぐその光に促されるように双眼を開いた。
ぼーっとしてしまっている思考をはっきりさせようと数回瞬きを繰り返すと、目の前に影があることに気付く。
『ヒルク…』
目の前にかかる影の正体に気付き、何故だろうと考えていると、私は、あのまま泣きながら眠ったことを思いだした。
よく見るとヒルクの膝が私の頭の下にあった。
《睫毛長い…髪もサラサラ、人間と変わらないのに悪魔…。》
そんなことを考えながら、ヒルクの寝顔を見詰めていると、閉じられていた双眼が、いきなり開き、私を見詰め返し伸ばした手を咄嗟に引っ込めた。
『サラ…なーに、見とれてた訳?』
『違っ…………そうかも知れませんね』
それだけ言うと、ゆっくり後ろ手に、地につき身体を起こし、立ち上がり顔を洗おうと水を探し歩きだす。
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