174人が本棚に入れています
本棚に追加
店を出た二人はぷらぷらと街中を歩く
周りにも同じような人がたくさんいる
「ねぇ、そろそろお腹空かない?」
「……お昼ご飯…」
「じゃーさ!そこに美味しいパスタが…」
「……中華」
そして二人は再び対峙する
「パスタっ!」
「…中華」
「じゃーんけーん…」
「じゃーんけーん…」
「ぽんっっっ!」
「……ぽん」
悠の希望が握り締められた拳は、玲の差し伸べられたかのような手の平に屈服するしかなかった
「……辛っ…」
「だから言ったじゃん!お姉ちゃん辛いのダメなのに、こんな本格中華の店で麻婆豆腐なんて頼んだら大変だよって!」
玲は涙目で、悠を見つめる
「食べればいいんでしょ!私も苦手なのに…」
「…ほふほふ…あひはひょう…」
「あー!それ私の豚まんじゃないのよ!勝手に食べないでよ!」
「…ほふほふ…悠には…麻婆豆腐が…あるじゃない…」
こうなると何を言っても適わないことを悠は知っている
水を何杯も飲みながら、文字通り、泣く泣く麻婆豆腐を完食した
「さて……そろそろ…帰りましょう…?」
「結局、今日私が行きたかったとこ一つも行けなかった…」
じゃんけんによる行動決定権
悠の本日の成績は0勝5敗と惨敗だった
最初のコメントを投稿しよう!