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バスはそのまま発車した
それも当然、運転手がもう一人の覆面に変わっていたからだ
「まずは携帯電話を預からせてもらう。大丈夫、後で返す」
覆面の男は一人一人から携帯を預かり、手にしていた袋に入れていく
やがて玲と悠の前にもやってきた
悠はおとなしく携帯を渡す
「悪いがそのカメラも預からせてもらう」
「こ、これはダメよ!」
悠はカメラを庇うように、相手に背を向ける
「撮られたりしたらたまらないからな。さぁ、早く渡せ」
悠は頑として動かない
「……悠、言うとおりにしなさい…」
玲の言葉を聞き、ようやくカメラを手渡した
「お嬢ちゃんは偉いな。じゃあ次はお嬢ちゃんが渡しな」
「…ダメ」
車内は十分静かだったが、その瞬間、さらに静かになった
「ダメって…抵抗するのか?」
「…うん」
男は銃口を玲に向ける
しかし、玲は一切表情を崩さない
「早く出せ」
「…だってこれを出したら…お兄さん達が…不利になるもの」
「…どういう意味だ?」
「……私の父…決まった時間に連絡しないと…ダメなの…」
「そんなの放っておけ」
「……でも警察官よ?」
その時、玲の携帯が鳴りだした
玲は画面を男に見せる
『父』と書かれている画面が写っている
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