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時効を迎えた。
……私の人生を大きく狂わせたあの事件から、15年が、過ぎた。
戦い続けてきた私の目的が、蜃気楼のようにフッと夕焼け空に紛れて消えた。
この長い歳月は、しかし私の脳裏にこびりついて離れない。
常に一秒一秒を感じていた。
常に最悪の結末に怯えながら日々を過ごした。
何もかもを捨て、目的の達成のために進んできた。
そして今、私は夕焼け空に染まる事件現場に立っている。
夕焼け空の印象と、私の人生を一変させた、あの事件の現場に。
現場はススキの茂る野原のまま、あの時から一秒も進んでいないようだった。
まるで、過去のこの場所を切り取って今に張り付けたかのように。
私はこの場に跪き、頭を垂れて祈った。
いくら法的に自由になっても、自責の念からは解放されない。
私は、自らの手で殺めた名も知らぬ男への罪悪感と後悔を、消し去ることなく生きていくのだろう。
祈りを終えた私の背中に、鈍い痛みと奇妙な温かさが伝わってくる。
「……待っていたよ。君を。15年間」
悲願を果たしたかのような声につられて振り返るとそこには。
そこには信じられないことに
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