786人が本棚に入れています
本棚に追加
食堂というにはちょっと広すぎる場所で、私は立ち尽くしていた。
さすがはお金持ちの家。
何もかもが違う。
なんだか自分の存在が場違いな気がしてしょんぼりしてしまう。
コツン
「っ!」
軽く頭をげんこつで叩かれ、咲を見上げる。
「お前、何自分が場違いなとこにいるみたいな顔してんだよ」
「…………」
「はぁ……。お前なぁ、俺のメイドって意味ちゃんと分かってんのか?」
(って……私はあなたのメイドになるなんて言った覚えはありません!)
「あ……!」
翔汰君が何かに気付いたのか、声を上げた。
視線の先を追い見る。
「なんだか騒々しいわね~」
そこには綺麗な女性が小首を傾げて立っていた。
「あら……?」
私に目を止めるや否や、その人はツカツカと歩み寄って来た。
「っっっ!!」
「こんな子いたかしら……。 あなた新入り?」
「あ……えっと私は……」
「俺がスカウトした」
どう言ったものか迷っていると、横にいた咲がはっきりと一言。
「スカウト……咲が?」
なんだか難しい顔で女性は呟く。
「あぁ、俺がした。……それより、早く席つこうぜ。 翔汰も腹減っただろ?」
「うん!」
最初のコメントを投稿しよう!