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なんだかんだ楽しかった食事が終わると
「それじゃ、ボク帰るね」
と携帯で誰かと話していた翔汰君が立ち上がった。
「おう。じゃ玄関まで送ってく」
そう言って咲も席を立つ。
「ぇ……わ、私は?」
「ぼけっとしてんな。お前も来るんだよ」
「ぅわわっ!!」
腕を掴まれ、強引に立たされる。
そのまま玄関に向かうと、大きな両開きの扉の前に若い男の人が起立していた。
「マサル!」
男の人を見た翔汰君がその人の名前であろう言葉を口にして駆け寄って行った。
私が誰なんだろう?と首を傾げて考えていると、隣に立つ咲が教えてくれた。
「マサルは翔汰の執事で……まぁ、お守りみたいな感じだな」
「フフ、お守り……」
思わず笑みがこぼれてしまう。
「……何笑ってんだよ」
コツン
「あ、も~!」
「はは!じゃあ次は麻希だな。 この俺が送ってってやるんだからな、光栄に思え」
咲に手を引かれ、外に出る。
なんだか穏やかな時間だなと心の片隅で安堵している自分がいた。
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