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知り合いが経営しているというブティックには、道が混んでいなかったおかげか、案外すぐに着いた。
駐車場に車を止めた……まではよかったんだけど……
「無理無理むりーーーッッ!!」
必死で店内に入るのを抵抗する私。
(さすがにメイド服で高級ブティックになんか入れるかーーーっ!!!!)
だけど必死の抵抗も虚しく、咲はあっさりと私を引きずって入ってしまった。
「ったく、店の迷惑になるだろ」
不機嫌そうに呟いた咲は、店員に短く何か言う。
すると、その店員はニコやかに私に近づいて来て言った。
「東条様のお連れ様ですね。 本日はご来店頂きまして、誠にありがとうございます。 ではさっそくですが、何かご希望のお洋服はありますか?」
丁寧な対応。
だけど丁寧すぎて私は何を言ったらいいのか分からなくなってしまった。
普段こういう店に来ないからなんだかいてはいけない様な気がしていた。
まして今の自分の格好を思えば……
「…………」
急に黙り込んでしまった私を気遣ってか、定員さんが少し明るめに
「特にありませんでしたら、こちらでコーディネートさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
と言ってくれた。
「ぁ、はい。……じゃぁ、お願いします……」
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