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沈んだ気分で再びカーテンを閉めようとして
その手を咲が掴んだ。
「っ!」
咲の体温が手から伝わってくる。
「いや、それがいい。 すいません、これ買います」
「え!?」
私を無視して定員に言うと、咲はさっさとカードで会計を済ませてしまった。
外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
夜風が髪を揺らしていく。
(……手、繋いだまま……)
ほんのりと赤くなった顔を隠す様に、俯き加減で少し後を駐車場まで歩く。
「…………それ、まじで似合ってる……」
不意にした呟きに驚いて咲を見ると、照れているのか私に顔を見せない様にそっぽを向いていた。
「あ、ありがとう……」
嬉しさと恥ずかしさでなんとかそれだけ言った。
結局手は駐車場につくまで繋いだままだった。
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