薬師の思い

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其処は広々としていた。 広々とした空間だった。 広々とした、辺り一面の緑・緑・緑。 緑でいっぱいだった。 其処は森であった。 そんな森の中に、建造物があった。 家だった。 何処から如何見ても、家だった。 その家に向かう影があった。 人間の男だった。 男は先ず鈴を鳴らした。 家の者を喚ぶためだ。 出ては来なかった。 もう一度鈴を鳴らした。 待てども待てども出て来なかった。 男は諦めて帰っていった。 しかし、家には人が居た。 八十を過ぎた老人が居た。
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