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「大翔っ!おはよーっ」
「遅いぞ美菜(みな)!ほら、行くぞっ」
もう大翔と一緒に学校行くことが日課になっている。
…大翔。私の幼なじみであり、私が小さい時からずーっと好きな人でもある。
だからこうして一緒に学校行けるのがホントはすごく嬉しい。
ずっと言えなかったけど、今年の夏には必ず伝えたい!
「あっ、大翔!そういえばね、みてみて!」
私は手首につけている腕時計を大翔に見せた。
「大翔がしてるのと、色違いの腕時計買っちゃったぁ~」
「はぁ…またか。ったく、美菜はほんっと何でもオレのまねするよなぁ…」
そう言いながらも、大翔は全然嫌そうな顔をしてないから、私はちょっぴり嬉しかった。
「ねぇねぇっ、今日1日だけさ、腕時計交換しないっ?」
嬉しくてたまらなかった。
「ったく…しょーがねーなぁ…。」
そう言いながら大翔は自分の腕時計をはずした。
「今日1日だけだぞ。」
大翔ははずした腕時計を私に差し出してくれた。
「うんっ!」
私は自分の腕時計を大翔に渡し、受け取った腕時計をすぐに自分の腕につけた。
なんだかんだ言って大翔は優しい。村の人たちからも好かれている、頼りがいのある男の子。そんな大翔のことが私はずっと好きだった。
「あっ!かわいいお花みっけ!」
腕時計を交換し、再び学校へ向かおうとした時、私は川沿いに綺麗な花を見つけた。
「大翔ちょっと待ってて!私あの花欲しい!」
そう言って私は川沿いに走り、花を取ろうとした。
しかし意外と花は川寄りにあって、届かなかった。
(うー…あとちょっとで届きそうなのにっ)
「おいっ、美菜!危ないぞ!」
後ろから大翔の声がした。
「へーきへーき。…あと少しでとど…きゃぁ!!」
ほんのちょっと指先が花に触れた時、足が滑ってしまった。
バシャーンっっ!!
「…っく、あっ…」
思ったより川は深い。足が届かない。川の流れも速かった。
(やだ…っ、溺れる!)
そう思ったとき。
「…な!美菜!ほら、捕まれっ!!」
「ひ…ろとっ…」
大翔が泳ぎながら私の方まで来て腕を伸ばしてくれた。
私は無我夢中で大翔の腕に捕まった。
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