9人が本棚に入れています
本棚に追加
それから大翔は病院に運ばれた。
けれど…
ピーーー…
病室に鳴り響いたのは大翔の死を知らせる音だけだった。
「大翔ぉぉーっっ!」
駆けつけていた大翔のお母さんやおばあさんが叫ぶ。
「ひろ…と…」
私は目の前が真っ暗になったようだった。
大翔…私を助けるために…私の代わりに死んでしまったんだ…。
私のせいで…!!
「うっ…くっ…」
涙が止まらなかった。
だって、大翔が死んじゃったなんて、信じられないから。こんな現実受け止められないよ。
どうしたらいいの?
私はこれからどうすれば…
その時、ふと浮かんだ。
『死んでしまった人が大切にしてたものをあの井戸の中に投げ込むと、死んだ人を生き返らせることができるんだって』
「………」
私は目を閉じてピクリとも動かない、ベッドに横たわっている大翔を見て、誓った。
(大翔…っ!絶対、絶対私が生き返らせてみせるから!)
腕につけていた大翔の腕時計をはずして、手に力強く握り締めると、私は病室を飛び出して、あの井戸に向かって全力で走った。
最初のコメントを投稿しよう!