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朔子は奇怪な様子を見せる市助に近付き、そっと背伸びをする。
既に一連の記憶を消してしまいかけていた市助。その行動だけははっきりと記憶をしていた。
「やはり、そうでしたのね」
「どうされたのですか」
朔子はまた微笑むと手にした物を市助に見せる。一枚の桃色の花弁。
数少なくなった樹についていた物が落ちたのだろう。
「貴方の髪にこれが降りた瞬間から、貴方はおかしくなりました。
なのでこの花弁を取れば、元に戻って下さるのではないかと思いまして」
市助はその朔子の発言にただただ唖然とするばかり。
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