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自分の過失だと言うのに拾わせるのは申し訳ない市助。すぐに女と同様にしゃがみこみ、本を手にしようとする。
すると市助と女の手はそっと優しく触れあう。女の頬は桜色に染まる。異性の手に触れた事がなかったのだろう。
市助も同様に頬を桜色に染める。手はすぐに離れた。
「ごめんなさい。前を見ていなかった私のせいです」
「僕の方こそ、見ていなかったのがいけません」
そしてまた二人は頬を染め合った。
「お怪我はありませんでしたか」
女が聞く。本来は男である市助が聞くのが礼儀だと言うのに。
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