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「童浦」
黒板にデカデカと書かれた文字は、私の名前「堂浦」を童貞と交えたもので、寺井は書き終えた後大声で解説した。
「童貞だから、お前はこれからこの漢字な。テストでもこの漢字で書けよ。童貞堂浦」
再び嘲笑が巻き起こるも、私はすでに反発する意欲すらなくなっていた。ただペンを強く握りしめることだけが精一杯の反発だった。
「童貞堂浦ー!」
「ドォテー! ドォテー!」
そのコールを耳にしたその晩、私は雑誌のグラビアのページを広げて、いるはずもない彼女の名前のモデルになったグラビアアイドルに向けて、泣きながら射精した。
私の高校デビューは、そんな感じで幕を開けたのだった。
今、やり直せるカードがあるなら私はこの日に戻りたいと何度も思った。
何度も思いながら、私は30を迎えようとしている。
高校の頃の自分を思い出し、言いようのない怒りを覚え、持っていた缶ビールを一気に飲み干した後、いつの間にか眠り、今日という1日を終えた。
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