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「あれ? 高校の同級生じゃん」
相手も気づいたのか私の方へ近づいてきた。
「あれ? 堂浦じゃん。なにしてんの?」
「仕事帰りで飲んでるとこ」
私に気づいて声をかけてきたのは沢村だった。高校の時から変わってないなぁと思いつつ、私は「そっちはなにしてんの?」と聞いた。
「え? なにって同窓会だよ。どーそーかい」
「おーい沢村どうしたの?」
背後から見知った顔がまたでてきた。今度は寺井だった。高校のときからお調子者で、よく教師にしかられていた奴だ。
「いや、堂浦がいたからさ」と沢村。
「堂浦ってあの堂浦? マジで? あ、ほんとだ」
寺井が顔を覗かせておかしそうに笑う。
「ちょ、マジかよ。童貞堂浦じゃん。お前なにしてんの? 今日呼んでないんですけどー」
大声で手を叩きながら笑う寺井に店内の客の視線が集まるのを感じた。それだけでも恥ずかしいのに沢村がそれに拍車をかけた。
「懐かしいな! 童貞堂浦って。昔、童貞の童に浦って書いて童浦って黒板に書いたよなっ」
それにまた寺井が手を叩きながら大笑いして、それを聞きつけたのか他の仲間たちが集まってきた。
「えーなになに?」
「あれ、童貞じゃん」
「誰が呼んだの?」
「しらなーい。ってかさ、呼んでないよね?」
「でさでさ、お前まだ童貞なの?」
寺井が笑いをこらえながら質問してきたが、私は「そんなことどうでもいいだろ」と返すと「うそ、マジで? ドーテー? ドーテーなの?」と明らかに馬鹿にし、また大笑いした。
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