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「うっそ、お前エッチしたことあんの?」
入学してまもなく、私はひとつの嘘をついた。地元の中学生の同級生がいないことをいいことに私は、高校デビューみたいなことをしたいがために、思わず女性経験があること吹聴したのだ。
「どんな感じだった」
「そりゃあ、もう気持ちよかったよ」
「マジかよーうらやましいなぁ」
相手していたのは確か沢村だった、ような気がする。
「なになに?」
その後に話に割って入ったのは寺井だったはずだ。これは間違いない。
「彼女っていくつ?」
「20かな」
当時、私は年上好きだった。年上好きなだけで、付き合ったことは一度もない。
「社会人? 大学生?」
社会人より大学生のほうが好きだった。つまり嗜好だ。どことなく夢がある、と当時は思っていた。だから、大学生と答えると周りの反応がにわかに色めきだって騒いだ。
「いつから付き合ってるの?」
「3ヶ月かな」
ここはリアルにと思い半端な数字をあげた。
「いいなー大学生かよぉ。それで処女だった?」
「いや、そりゃもちろん」
「じゃあ、大変だっただろーね」
「え?」
そう言ってきたのは確か寺井だった。
「えって処女とやったとき血が出るだろ?」
「……」
そんなものなのか? いや、血が出るなんてあるのか? そもそもないだろ。
その判断がいけなかった。私はその答えに「でなかった」と答えると寺井は答えた。
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