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「頼む! 魔法部に入ってくれ!
どうしてもお前が必要なんだ!」
長身黒髪の男の前で、それはそれは見事な土下座を決め込んでいるのは、魔法部の部長と名乗る男だった。
「っていうか、あんた誰だよ」
悠然とした様子で言うと、魔法部の部長は愕然としつつ目を見開いた。
「な、何ですとぉ!? これでもう三回目の出会いだぞ!?」
肩口に伸ばした黒い髪が、そんな彼を称えている。それは窓から入ってくる風で揺れた。
整った顔立ちの彼。背は高く、堂々としている。
「あのな……、俺は3年の守屋亮太! 魔法部の部長だ! ったく、これで2回目だぞ……」
守屋と名乗った彼は、呆れたように言った後、再び土下座に専念し始めた。
二年生に土下座する三年生というシュールな場面だったが、彼は意に介した様子もなく、一言。
「俺は、自分より劣る奴の下にはつかねぇ。わかったら帰ってくれ。守屋先輩」
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