それはまるで魔法のように

第１章

　長身で黒髪の彼は、黒木秀介という。自他共に認める天才だ。

　そんな彼の才能に一早く気付いて、守屋は魔法部という嘘みたいな自分の部活に引き込もうとしたのである。

（魔法はほとんど習得してる……あんな部活で今更することなんかねぇ）

　魔法で可能な範囲は、物凄く限られている。個人の能力が、そのまま反映されてしまうからだ。

　今の自分の興味は、違う場所にあるのだ。そう再確認して、帰る準備を始めた。